近年の物価上昇や人材確保の観点から、従業員の賃上げに取り組む事業者を支援する制度が国により多数用意されています。本記事では、主な制度とその賃上げ要件を紹介します。制度の詳細や申請方法については、各問い合わせ先へ直接ご確認ください。
※多くの制度では賃上げ実施前の申請が必要です。原則として、すでに実施した賃上げは対象外となる場合がありますのでご注意ください。
1 生産性向上・省力化のための補助金
ものづくり補助金
デジタル化・AI 導入補助金中小企業省力化投資補助金
中小企業省力化投資補助金
設備投資やDX 推進を支援する上記補助金では、「賃上げ」への取り組みが非常に重要なカギとなっています。申請する補助金や枠によって条件は異なりますが、ポイントは簡潔にまとめると以下の2点です。
- 申請の「必須要件」になる「ものづくり補助金」や「省力化投資補助金(一般型)」では、「1人あたり給与支給総額 年平均+3.5%以上」および「事業所内(事業場内)最低賃金を地域別最低賃金+30円以上」の賃上げが申請の必須要件です。デジタル化・AI 導入補助金でも、申請額が150万円以上の場合は必須となります。
- 補助金により、補助上限額の大幅アップや審査の「加点」につながる 必須要件をさらに上回る「大幅な賃上げ」を計画・表明することで、従業員数に応じて補助上限額が数百万円から最大、数千万円引き上げられる特例があります。また、補助金により審査を有利にする加点項目や、補助率引き上げ(1/2 から 2/3 など)の要件にもなります。
制度のメリットを最大限に活かすためにも、自社の実態に合った無理のない賃上げ計画の策定と、各補助金の公募要領の確認が重要です。
問い合わせ先
ものづくり補助金事務局サポートセンター:
050-3821-7013
中小企業デジタル化・AI導入支援事業 コールセンター:
0570-666-376
中小企業省力化投資補助事業 コールセンター:
0570-099-660
2 小規模事業者持続化補助金(賃金引上げ特例)
販路開拓や業務効率化の取組を支援する補助金で、賃上げに取り組む事業者向けの特例が設けられています。
賃上げ要件
雇用者給与等支給額の総額が最近の決算期と比較して 2.5%以上増加する見込みがある方が対象です。すでに賃上げを実施した事業者も対象に含まれます。各融資制度の貸付利率から 0.5%引き下げ(貸付日から 2 年間)が適用されます。マル経融資にも適用可能です。
問い合わせ先
小規模事業者持続化補助金事務局:
03-6634-9307
3 賃上げ促進税制
従業員給与を前年度より一定割合以上増加させた企業に対し、法人税等の税額控除を認める制度です。令和 7 年度から個人事業主も対象になりました。
賃上げ要件と控除率(中小企業向け)
| 全雇用者の給与等支給額(前年度比) | 税額控除率 | 上乗せ措置併用時 |
|---|---|---|
| 1.5%以上増加 | 増加額の 15% | 最大 30% |
| 2.5%以上増加 | 増加額の 30% | 最大 45% |
※控除上限は法人税額の20%。上乗せ措置として、教育訓練費の増加(+10%)や子育て支援・女性活躍の認定(+5%)があります。中小企業は控除しきれない額を5年間繰り越すことが可能です。税務申告時に適用する制度のため、顧問税理士との確認が重要です。
問い合わせ先
中小企業税制サポートセンター:
03-6281-9821
4 固定資産税の特例措置
先端設備等導入計画の認定を受けた設備投資について、賃上げを行う企業には固定資産税(償却資産)の課税標準が軽減されます。
賃上げ要件と軽減内容
| 雇用者給与等支給額の増加率 | 固定資産税の軽減措置 |
|---|---|
| 1.5%以上増加 | 課税標準を 3 年間 1/2 に軽減 |
| 3.0%以上増加 | 課税標準を 5 年間 1/4 に軽減 |
※市区町村による先端設備等導入計画の認定が必要です。対象設備の種類・取得時期にも要件があります。
問い合わせ先
箕面市 企画部商工労働課:
072-724-6727
5 賃上げ貸付利率特例制度(日本政策金融公庫)
賃上げに取り組む中小企業・小規模事業者に対し、日本政策金融公庫の融資の貸付利率を引き下げる制度です。
賃上げ要件
雇用者給与等支給額の総額が最近の決算期と比較して 2.5%以上増加する見込みがある方が対象です。すでに賃上げを実施した事業者も対象に含まれます。各融資制度の貸付利率から 0.5%引き下げ(貸付日から 2 年間)が適用されます。マル経融資にも適用可能です。
問い合わせ先
日本政策金融公庫 十三支店:
06-6305-1978
※各制度の詳細な要件や申請方法については、それぞれの問い合わせ先へご確認ください。制度内容は変更される場合があります。最新情報は各制度の公式サイト等でご確認ください。