「シーブリーズ」をご存じでしょうか。名前の意味は「海風(Sea Breeze)」。1980年代、マリンスポーツを楽しむ20~30代男性の夏の定番でした。ところが若者の海離れが進み、売上は長期低迷。2007年にはブランド存続の危機に追い込まれます。
しかし資生堂が下した判断は「商品をやめる」ではなく「売る相手を変える」でした。調査の結果、女子高生が部活後に使える制汗剤を求めていることがわかったのです。ターゲットを「海でサーフィン後に汗を拭く男性」から「部活後に好きな人に会いに行く女子高生」に変更。パッケージをカラフルに刷新し、CMもハワイの海から学校の廊下へ。商品の中身はほぼ変えていません。それでもわずか1年で、低迷期の8倍の売上を記録しました。
これはマーケティングの世界では「市場開拓」と呼ばれる戦略です。経営学者アンゾフが提唱した「成長マトリクス」では、事業の伸ばし方を4つに整理しています。①市場浸透(今の商品を今のお客様にもっと売る)、②市場開拓(今の商品を新しいお客様に売る)、③新商品開発(新しい商品を今のお客様に売る)、④多角化(新しい商品を新しいお客様に売る)。
ここで注目していただきたいのは、②市場開拓と③新商品開発の”ちょうどいいバランス”です。①の市場浸透は堅実ですが大きな飛躍は望みにくい。④の多角化は夢がある反面、商品も市場もゼロから作るためリスクが高い。一方、②と③は「商品」か「市場」のどちらか一方を活かせるので、リスクを抑えながら成長を狙えます。
実は、この②と③の取り組みを資金面で後押ししてくれるのが小規模事業者持続化補助金です。現在、第19回公募の申請受付中(2026年4月30日締切)で、補助上限は50万円(特例活用で最大250万円)、補助率は2/3。チラシ制作、Web広告、展示会出展、新商品の開発費など、販路開拓にかかる幅広い経費が対象になります。
たとえば和菓子店が「法人向けの手土産ギフト」としてパッケージと営業先を変えるのは②の市場開拓。町の整体院が既存の常連客向けに「オンライン姿勢改善プログラム」を始めるのは③の新商品開発。どちらも今ある強みを活かした現実的な一手であり、補助金の審査でも高く評価されやすいテーマです。あなたの事業でも試してみませんか?