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ad2026年6月18日

特 集
そのクレーム、会社で受け止めすぎていませんか?
理論編:従業員を守り、事業を守る「カスハラ対策」
2026年10月から事業主の対策義務化へ

近年、接客業、サービス業、医療・介護、運送業、窓口業務など、さまざまな現場で「カスタマーハラスメント」、いわゆるカスハラへの関心が高まっています。お客様からのご意見や苦情は、商品・サービスの改善につながる大切な声です。一方で、暴言、長時間の拘束、過度な要求、人格を否定する発言など、社会通念上許容される範囲を超える行為は、従業員の心身に大きな負担を与えます。


カスハラとは?

単なる苦情やクレームのことではありません。

顧客・取引先・施設利用者などからの言動のうち、社会通念上許容される範囲を超え、従業員の就業環境を害するものを指します。

判断の軸は、①要求内容の相当性 ②手段・態様の相当性です。

正当なご意見には誠実に向き合いながら、行き過ぎた言動には会社として対応することが重要です。

3つの要素

顧客等の言動 社会通念上許容される範囲を超える 就業環境が害される

「正当なクレーム」と「カスハラ」の違い

大切なのは、正当なご意見を排除することではなく、不当な言動から従業員を守る基準を持つことです。

見るポイント 正当なクレーム カスハラの可能性
内容 商品不良、説明不足、接客不備などへの指摘 契約外・制度外の過度な要求
伝え方 事実や要望を冷静に伝える 暴言、威圧、人格否定、脅し
時間・頻度 必要な範囲での確認 長時間拘束、執拗な連絡、話のすり替え
要求 交換、返金、説明など妥当な範囲 土下座、過剰補償、担当者処分の強要
影響 改善につながる 従業員の心身や通常業務に支障が出る
【このような行為は要注意】

□ 大声で怒鳴る、威圧する □ 「辞めろ」「無能だ」など人格を否定する
□ 土下座を強要する □ 同じ内容で何度も電話をかける
□ 長時間、従業員を拘束する □ 契約・通常対応を超える要求をする
□ SNS 投稿をほのめかして脅す □ 不当な金銭補償や過度な謝罪を求める

B to B でも起こります

カスハラは消費者対応だけの問題ではありません。取引先との関係でも、短納期の強要、無償対応の要求、威圧的な言動などが問題となる場合があります。契約書・見積書・対応記録は、冷静に判断するためのよりどころになります。


2026年10月から何が義務化されるの?

2026年10月1日施行

2026年10月1日から、改正労働施策総合推進法により、事業主にはカスタマーハラスメントを防止するための「雇用管理上必要な措置」を講じることが義務付けられます。ここでいう義務化とは、すべての苦情やクレームを拒否することではありません。また、顧客対応の現場にいる従業員だけに責任を負わせるものでもありません。義務化されるのは、カスハラにより従業員の就業環境が害されないよう、会社として方針や相談体制、対応手順を整えることです。


実務編:現場任せにしないために、今からできること

対応フローは「止める・替わる・残す」

個人の我慢に頼らず、一定の基準を超えたら「対応を止める」「担当を替わる」「記録を残す」。悪質な場合は、警察・弁護士・社労士など外部専門家への相談も検討します。

受付・確認 上司・責任者へ共有 組織として判断 記録・再発防止

義務化に向けて、中小企業が今から整えたい5つの備え

義務化のポイントは、カスハラ対応を現場任せにせず、会社として「方針」「基準」「相談先」「記録」「従業員フォロー」を整えることです。
1 会社としての方針を決め、従業員に共有する

「お客様の声は大切にする」一方で、「暴言や過度な要求からは従業員を守る」という方針を、経営者や管理者だけでなく、現場の従業員にも共有しておくことが重要です。

2 「どこまで対応するか」の基準を決める

長時間の電話、繰り返しの来店、暴言、土下座の要求、SNS 投稿をほのめかす行為などについて、対応を続ける場合と中断する場合の基準を決めておきます。現場が一人で判断に迷わないようにすることが大切です。

3 相談窓口・報告先を決める

従業員が一人で抱え込まないよう、相談先・報告先をあらかじめ決めておきます。小規模事業所では、経営者、店長、管理者、総務担当など、「まず誰に相談するか」を明確にするだけでも有効です。

4 発生時の対応手順と記録方法を決める

カスハラが発生した場合に備え、事実確認、記録、社内共有、対応方針の決定までの流れを整理しておきます。発生日時、相手方、要求内容、発言内容、対応経過などを記録することで、再発防止や外部相談にもつなげやすくなります。

5 悪質なケースへの対応と従業員フォローを決める

暴力、脅迫、器物損壊、居座り、SNS での個人攻撃など、悪質なケースへの対応方針を決めておきます。必要に応じて警察や専門家に相談するとともに、対応した従業員への面談や担当変更など、心身への配慮も重要です。


現場で使える対応フレーズ

場面 伝え方の例
長時間の電話 同じ内容のご説明が続いておりますので、本日はここまでとさせていただきます。
暴言がある ご意見は承りますが、暴言が続く場合は対応を続けることができません。
過度な要求 ご要望は確認しましたが、当社として対応できる範囲を超えております。
個人攻撃 個人への非難ではなく、内容について確認させていただきます。以後は会社として対応します。
居座り これ以上の対応は業務に支障が出るため、本日の対応は終了いたします。

保存版 カスハラ対応チェックリスト

□ カスハラに対する会社の方針を決めている □ 従業員に対応基準を共有している
□ 相談窓口・報告先を決めている □ 対応記録の様式を用意している
□ 長時間電話・暴言・居座り等への対応ルールがある □ 悪質な場合の外部相談先を確認している
□ 従業員を一人で対応させない体制がある □ 対応後の従業員フォローを行っている

■カスハラ対策は、特別な制度を一度に整えることから始める必要はありません。まずは、会社としての方針を決め、相談先を明確にし、対応記録を残すことから始めてみましょう。

従業員を守ることは、事業を守ること。安心して働ける職場づくりは、人材確保やサービス品質の向上にもつながります。

労務管理や職場環境づくりに関するご相談は、箕面商工会議所までお気軽にお問い合わせください。
お問い合わせ 箕面商工会議所 中小企業振興課 072-721-1300
参考:大阪府「カスハラ対策で自社を守る!支援機関のための実践ガイド」/厚生労働省資料等を基に編集
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